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人生終末への準備

 人生の終末を迎えようとしている世代が最も関心のあることは、認知症や孤独死に対する不安ではないでしょうか。

高齢化の進む日本社会では、要介護老人の増加率が大きくて、収容施設とサービス要員が不足しています。

私は、高齢化による体力低下を防ぐ努力と経済面での自己防衛で精一杯の毎日です。

自己の終末準備として、財産管理、病院や施設入居時の保証人、遺産相続、死後処理などが課題です。

これらの知識情報は容易に入手できますが、具体的手法の選択となると相当に面倒な作業であることに気付きました。

 以下に、私の学習した範囲で取りまとめたものを掲載します。



1. 世相の再認識



戦前の家族制度では、「子供は財産」であり、子の無い家庭は養子縁組で老後の保証を考えてきました。

その時代は子育ても容易であって、親の老後は子供が見とることが暗黙の決まりでした。

戦後の民主化によって家族制度が崩壊し、家族が「個」として捉えられて、子供に対しては、膨大な教育費・養育費をかけて育てても独立して別世帯となります。

家族が「個」として互いを尊敬しあう生き方は、自由で良いことですが、戦前の家族制度に比べて経済的な負担が増大しています。

そこで、子育てと老人介護を政府(社会)が負担する考え方になってきましたが、政府の財源には限界があります。

政府は、景気振興のために老人が子供達に生前贈与することを奨励する税制改革をしたり、相続税を厳しくしています。

財産贈与を受けた子供は、その時点では親に感謝をするでしょうが、やがてその気持ちも記憶も薄れ親の世話の煩わしさが負担になって逃げ腰となります。

自分の終末において満足できるQOL(尊厳ある生活の維持)を望むならば、子供と平等で一人の人間として最後まで渡り合えなければなりません。

そこで、老人も自己防衛として、最後まで自分の財産を固守しなければなりません。

これは動物としての人間が本来持っている親子の「情」とはまた別の話です。

人間社会が契約で成り立っていることを、しっかり認識しなければなりません。



2. 財産の管理方法



認知症になっていて、成年後見制度を利用すれば財産管理も含めて一括契約できます。

しかし、現に認知症になっていない要介護者は、次の方法で管理委託します。



まとまった現金は、信託銀行などが提供する金融商品「家族信託」を利用する方法があります。

(銀行により違いがあるが、最低信託額は1,000万円以上が多い)

一般には本人が生存中の契約としますが、銀行によっては、死後も引き続き信託できる契約方法もあります。



三菱UFJ信託銀行「ずっと安心信託」の例



生前に相続人を定めることで遺言代わりになるうえ、生きている間は預けた資金を自分の老後資金に使える商品です。

家族信託では通常、親が財産を託する「委託者」となり、その財産で利益を得る「受益者」として妻や子供を生前に指定します。

資金を預ける時点で、銀行と相続人や額などをあらかじめ話し合って決めるので、委託者が望む形の相続を実現できます。

財産を巡り肉親が争うような事態は避けたいが、遺言書は気が進まないといった人にも適しています。  

委託者と受益者は同じ人がなることができるので、生きている間は預けた資金を自分の医療費などに使い、死後に妻や子供が残額を受け取る設定もできます。  

通常の相続では、相続を受ける人全員が同意しないと、資金を引き出すことが出来ず、もめている場合は長期化することも考えられます。

このため、遺族が葬儀代などを工面するのに苦労する場合もあるが、家族信託は医師の死亡診断書などがあれば、資金を引き出せます。

子供の無駄遣いが心配な親にとっては、一度にまとまったお金を子供が相続した場合に比べて、毎月一定額を受け取る形を設定できる家族信託は安心感を得られやすいです。

管理手数料は無料と有料の商品があるので、解約条件などと合わせて確認しておきます。

たとえ無料であっても、実際は資金の運用益から差し引かれますので、実質で月1万円程度と推察されます。

少額の財産であれば、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」で、日常の金銭管理をお願いする方法があります。

利用料は支援に要した時間数で決まる仕組みで、1時間あたり1000円程度となっているようです。

不動産や有価証券等の管理は、行政書士等に依頼して、信頼出来る人と「財産管理委任契約」をして、自分の生活に合わせた引き出し方を決めます。



3. 認知症への対策



成年後見制度(昔の禁治産制度を作り替えたもの)を利用して、本人の権利を守るため法律行為等を代理してもらう人を選任して家庭裁判所の管理下に置くことです。

複雑で、問題点もありますが、契約社会では必須の認知症対策です。

「成年後見」には、「法定後見」と「任意後見」があります。

認知症、知的障害、精神障害などで判断能力がすでに低下している方には、「法定後見制度」が利用できます。

一方、今現在は元気で支障がないけれども、将来法的支援の必要が生じた場合に備え、支援内容・方法を今のうちに信頼できる人に頼んでおきたいという方は、「任意後見制度」が利用できます。

後見人の仕事は、大きく分けて、「財産管理」と「身上監護」に分かれます。

お年寄りの大切な財産が、だまし取られたり、紛失しないように、後見人がしっかりと「財産管理」を行います。

また、後見人は「身上監護」として、介護サービスや入院などの手配をお年寄りに代わって行い、穏やかに老後をすごすことができるように見守ります。



この制度の大きな問題点は3つです。



)財産の乏しい人は、後見人報酬(毎月3万円程度)の支払いができないこと。

)後見開始の審判の申立権者は、本人、配偶者、4親等内の親族等となっているが、本人が認知症であり、親権者等から権利侵害を受けている場合とか、親族間に紛争のある場合には、第3者が後見人に専任されることになるが、実際に後見事務を行使するのに苦慮することになる。

)身寄りのない人や申立権者に適した人がいなくて、第3者の弁護士等も引き受けない場合には、市区町村長が申立権者になることになっているが、実際には事例が少ない。

即ち、落ちこぼれ者が救済されない実状です。



任意後見契約の種類



即効型



既に軽度な認知症であり、判断能力の低下している状態で任意後見契約を締結する場合です。

但し、判断能力の程度によっては、公証役場で受け付けてもらえないこともあります。



移行型



判断能力のあるうちは、財産管理委任契約としておき、判断能力が低下した時点で任意後見監督人を選任してもらい任意後見契約に切り替えます。



将来型



判断能力のあるうちは、任意後見契約をするだけで何も依頼せず、判断能力が低下した時点で任意後見契約を発生させます。

ただ、本人の判断能力の低下度を把握しなければならず、信頼出来る身内が常時接触していないと申請が遅れます。

そこで、行政書士等と「見守り契約」を締結しておくと、適切に任意後見契約の開始へ移行できます。

任意後見制度で注意すべき点は、被後見人の財産を侵奪する(横領罪が成立する)事例が少なくないことです。

任意後見人と事前契約して裁判所へ届けても、被後見人が認知症になって任意後見監督人を選任してもらうまでは、チェック機能がない状態です。 親族から任意後見人を専任すると、心情的にも契約が曖昧になりやすく、つい使い込んでしまうのでしょうか。



本人の能力が衰えたとき本人、配偶者、四親等内の親族または任意後見受任者が家庭裁判所に申し出て任意後見監督人の選任を申し出たとき任意後見契約は発効するのです。

本人以外のものが申し立てた場合でも本人の同意が必要な点と任意後見監督人の選任が法定後見との大きな違いです。



4.身元保証人の確保



病院へ入院する時と施設へ入所する時には、2人の身元保証人が必要です。

一般に、親族にお願いしますが、高齢者世帯では直ぐに手配できない場合があります。

健康な時に、2人の保証人を確保しておきます。

成年後見人では、原則、兼ねることが出来ません。

NPO法人などにお願いする方法もあります。



5.遺産相続の問題(遺言書)



たとえ少額の財産であっても、遺言書がないとトラブルが起きる心配があります。

特に、不動産や美術品などの分割方法とか、負債の処理で問題が置きます。

遺言書は、公正証書とするのが良いが、自筆証書で残しても良いです。

自筆証書の場合は、遺言書の要件を満たしていないと無効となります。

遺言書書き方の見本例を参考としてください。



公正証書遺言



遺言者が遺言の内容を公証人に口述して作成してもらうもので、2人以上の証人の立会が必要である。



メリットとしては・・・・

紛失や改ざんの心配がないこと。 記載内容の不備が生じないこと。

検認手続が不要であること。



デメリットとしては・・・

費用がかかること。

内容の秘密が保てないこと。



自筆証書遺言



遺言者が遺言の全文と日付を自筆で書いて署名押印する。

(パソコンや他人の代筆は無効となります。)



メリットとしては・・・

作成が簡単であること。

費用がかからないこと。

内容の秘密が保てること。



デメリットとしては・・・

家庭裁判所の検証手続き(検認)が必要であること。

(遺言者の死後に、遺言書を開封しないで、家裁へ提出して検認を受けないと、法的に有効な遺言書とならない。結果を受け取るまでに約2ヶ月間を要する。)

記載内容に不備が生じやすく、無効になる可能性があること。

紛失や改ざん、隠匿などの危険性があること。



公正証書遺言に必要な書類



) 遺言者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)

) 財産引き継ぎ人の戸籍謄本と住民票の写し

) 土地や建物の登記事項証明書及び固定資産評価証明書

) 証人の氏名・住所・職業・生年月日の記されたメモ(住民票の写し添付)

  但し、公証役場で証人を紹介してもらう場合には、不要です。



遺言書作成において意外と忘れがちな遺言項目チェックリスト



財産を受け取る方が先に死亡した場合の予備的受取人を指定してあるか?

財産を受け取る方(例えば、妻)が同時または先に死亡してしまうと、その部分の遺言は無効になります。

従いまして、その妻が受け取る遺産分については遺言による指定がなかったことになり、別途相続人の間で遺産分割協議が必要になってしまいます。

万が一に備えて、予備的(補充)遺言条項を設けることも必要です。



遺言書作成後に取得した財産など遺言書に未記載の遺産の承継は?

せっかく熟慮し、こと細かく遺言書に書いたとしても、遺言書に記載の無い財産は、その部分につき相続人の間で分割協議をしなければならなくなります。

個別具体的な記載に加えて、遺言書に記載の無いその他一切の遺産の承継先を包括的に指定しておくことも大切です。



祭祀の承継権(墳墓・祭具等の所有権)を誰に任せるか?

当然長男が承継すると考えていても、遺言の内容に不満があったり、相続人の間で複雑な人間関係があると、きちんと祭祀が承継されなくなります。

祭祀承継の自覚を促す為にも、遺言書において祭祀承継者をきちんと指名すべきでしょう。



遺言執行者は指定しなくてよいか?

せっかく熟慮を重ねて納得のいく遺言書ができたとしても、誰か一人でもその内容に不満を持ち、遺言執行手続に非協力的な相続人がいれば、滞ってしまう手続もあります。

また、遺言内容によっては遺言執行者を必要とする手続もあります。

遺言内容を速やかにかつ確実に実現させる為に、遺言書で信頼できる遺言執行者を指定するとよいです。



遺族への最後のメッセージはあるか?

必ずしも遺言書の中でメッセージを記す必要はありませんが、遺された家族への感謝の気持ちや自分の考え等を「付言事項」として記すことはそれなりの意味があると思います。

例えば、遺言書を目にする家族にとって、一言でも自分たちへ愛のあるメッセージがあれば、悲しみを和らげられたり、たとえもし遺言内容に対して多少の不満が あったとしても納得する要因になり得ます。

また、何故このような財産の分け方をしたかという遺言者の意図を記すことは、相続人間での無用な遺恨を残さずに済むということもあるでしょう。

是非、遺される方々の心に響く言葉を記すことを考えてみて下さい。



このチェックリストは宮田総合法務事務所のHPから引用しています。



6. 残債や遺物の処理(エンディング・ノート)



まず先に、終末期医療についての希望、貴重品や保険の情報、友人・知人の連絡先などを明記しておきます。

葬儀の内容とか借り物の返済、遺物の処分方法等についても、具体的に要望を記しておきます。

遺言書の存在も記しておきます。

デジタル人にあっては、次のことも明示しておきます。

パソコンや電子手帳などのデジタル機器内のデータ及びDVD等メディア情報に関する処分方法について。

インターネットで有料コンテンツを利用するなどインターネットによるサービスを利用している場合のIDやパスワードなどのメモ、解約方法について。

エンディ・ノートは、下記の8項にあるニフティ株式社のHPからダウンロードが出来ます。

また、用紙は、コクヨの市販ノート(品番LES-E101)¥1,470 があります。



7. 遺言書や成年後見制度での申立親族の範囲



この図はイワタ行政書士事務所のHPから引用しています。








8. 参考にしたホームページ



法定成年後見の手続きをご自分でされた体験記

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tbc00346/component/guardian.html

上記は「84歳のキャッシュ」と題する下記のHPのサブ・ページで、”17.成年後見制度”です。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tbc00346/index.html



成年後見制度(公益社団法人リーガルサポート)

http://www.legal-support.or.jp/support/index.html



見守り契約・任意後見契約など(吉村行政書士事務所)

http://www.gyosyo.jp/



成年後見[法定後見・任意後見] (宮田総合法務事務所)

http://www.legalservice.jp/faq/item_275.html



財産管理委任契約書(イワタ行政書士事務所)

http://iwata-legal.com/y_zaisancont.html



任意後見契約書(イワタ行政書士事務所)

http://iwata-legal.com/y_nkouken.html#ikou



家族信託「ずっと安心信託」(三菱UFJ信託銀行)

http://www.tr.mufg.jp/shisan/zuttoanshin_01.html http://www.tr.mufg.jp/shisan/zuttoanshin_02.html#keiyaku



家族信託のメリット・デメリット(角田・本多司法書士合同事務所)

http://www.kakuta-honda.com/blog/2012/12/post-73-355814.html



「終活」をサポート(NPO法人 あんさんぶる)

http://www.seizenkeiyaku.jp/



身元保証ほか支援事業(NPO法人きずなの会)

http://www.kizuna.gr.jp/



NPO法人 名古屋成年後見センター

http://seinenkouken.org/



成年後見人の受任・成年後見申立支援(一般社団法人 成年後見センターペアサポート)

http://pairsupport.jp/price.html



遺言書の書き方(中島IT行政書士事務所)

http://www.yuigon.biz/



自筆証書遺言(行政書士 宮崎事務所)

http://www.igonsho.net/jihitu.html



エンディングノートの書き方(ニフティ株式会社)

http://shukatsu.nifty.com/endingnote/



和みの会

http://www.753club.org/about