彦市   » 生活環境予測

TOP

1.はじめに

シニアが自分の余生計画を策定する際には、近未来の社会環境がどの様に変化するかを想定しておく必要があります。

団塊世代にあっては、平和で自由で物資豊かな環境で生きて来られました。

日本の歴史上で最も恵まれた世代と言えそうです。

ところが、今後の社会環境については楽観できないと思います。

以下は、私なりの予測です。

従って、特定の人だけに閲覧していただく次第です。

ご意見をお聞かせ下さると有難いです。

2.食糧事情

人間が動物である本質から、自然界の食糧循環システムに従わないと生きられません。

ところが、人口増加と資源乱獲によって、特定品種については品不足状態になります。

更には、発展途上国の需要増大が見込まれるので、食糧価格が高騰するでしょう。

2-1.海産物

トロール網と魚群探知機による漁法によって、殆どの遊泳魚が根こそぎ捕獲されます。

しかも、公海上では、各国の漁船が競合する状態ですから、日本の漁獲量も激減するでしょう。

人工養魚が期待されていますが、コスト高は避けられませんし、品質の低下となるでしょう。

貝や海藻についても、品不足で高騰するでしょう。

2-2.農産物

近代農法で単位面積当たりでは高収穫になっていますが、収穫数量が限界近くなっており、今後は品種改良に望みを託すだけでしょう。

新品種の種苗独占が進んでおり、コスト高の要因となっています。

また、化学肥料での栽培が主体となっており、作物に微量元素が不足して品質低下となっています。

国内では、就農人口の減少によって、高収益品種の栽培に特化する傾向があり、市場には品種の偏在傾向が見られます。

畜産についても見通しは暗く、酪農就業者が減少して、コスト高と生産量不足で価格が高止まり状態でしょう。

輸入食肉も、今後は発展途上国の需要増加によって、価格高騰が予想されます。

2-3.加工食品

人工栽培工場を含めて、加工食品が増大するでしょう。

しかし、栽培可能な品種は限られていますし、エネルギー価格の影響を強く受けるので、楽観視できません。

但し、加工技術や保存方法の進歩が期待されるので、天然食品を補う形で普及するでしょう。

3.エネルギー事情

国民一人当たりのエネルギー消費量が増加傾向にあり、輸入原油に頼る我が国では、今後は更にエネルギー単価が上昇すると懸念されます。

半世紀に亘って開発されてきた”夢の原子力発電”が期待外れの結果になったため、代替エネルギーのコスト高が影響しています。

今後は、一人当たりのエネルギー消費量を低減する施策を強化する事が重要課題であり、住宅の断熱性向上、衣服の改良、輸送機器の改良、レジャー趣向の見直しなどが想定されます。

3-1.原子力発電

従来は、ランニングコストが安くてクリーンであり、安全対策も完璧であるとして原子力発電所が増設されてきました。

現在は再稼働もままならず、電力業界では大きな負担となっています。

更には、今後の廃炉問題があります。

設備寿命が40~50年ですから、今後20年以内に殆どの原子炉が廃炉となり、廃炉処理には40年が必要です。

しかも、1基当たりの廃炉処分費が400億円と言われています。

3-2.火力発電

我が国の現状は、総電力の7割近くが火力発電所から供給されています。

原料は、重油と天然ガスが殆んどで、全てを輸入に頼っています。

従って、世界の原油価格変動によって発電単価が変動するので、製造業に不安定な要因を与えています。

原油と天然ガスの埋蔵量には限りがあり、石油化学工業の原料でもあるので、後世に残しておかなければなりません。

従って、今後は安易に火力発電に頼ることはできないでしょう。

3-3.自然エネルギー

水力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電など。

現在は、風力発電所と太陽光発電所が積極的に建設されています。

しかしながら、発電量比率では僅かなものです。

今後の本命は太陽光発電でしょうが、設備価格の低減と受光素子の電力変換効率向上が課題となっています。

まだまだ発達途上の技術のようです。

関連する技術として、電力用の大型蓄電池の開発が緊急課題です。

これが実用化すれば、太陽光発電からの電力を多く受け入れ出来るし、需要ピーク時の対応が容易になって電力の有効活用が広がります。

4.社会環境の変遷

文明と技術の進歩によって、社会環境が変化します。

直近の100年で目覚ましく変遷しました。

即ち、情報機器と輸送機器の進歩により、人間の活動範囲が広がり、忙しい日常となりました。

また、医療技術の進歩で長寿社会となりました。

社会環境、即ち、インフラ整備、住宅環境、公衆衛生、教育レベル、犯罪発生率、社会ネットワークなどで比較評価すると、我が国は世界のトップ集団に位置付けられています。

しかしながら、弊害も増加傾向にあります。

それは、高エネルギー消費社会となったこと、福祉費用が増大したこと、大災害や高額被害犯罪が増加したこと、などです。

また、コンピュータ社会となって、人間の労働が省力化できたが、他方では、労働の質が変化して収入が不安定な人が増加しています。

人間の欲望には限りがなく、生活水準が向上して欲望が満たされても、更なる向上を目指して働き続ける状態です。

そのために、人情が薄れた社会になって、”本当の幸せ”について再考させられます。

5.日本経済の予測

大局的に観察すると、世界が相対的に狭くなって、資本主義が行き詰まり傾向にあると思います。

即ち、経済がグローバル化した結果、多国籍企業が勝者となり、国民には還元されず、企業間競争が激化するばかりです。

資本主義は常に投資利益を生む為の市場拡大がなければ成り立ちません。

地球上の資源に限りがあり、人口増加は後進国で生じており、世界の購買力が限界に近いので、生産過剰となっています。

従って、金余り現象で、博打的要素のある株取引が活発化しても実体経済は停滞したままです。

我が国は自民党が安定政権を持続する為に、マスメディアを味方にして国民を政治体制に従順させることを狙って、スポーツやお笑いタレントに関心を向けさせています。

そして、国民は平和ボケとなり、東京オリンピックに目標を置いています。

しかし、内情は財政的に危険な状態です。

国民総生産額(GDP)の2倍を超える国債(借金)は国民の預貯金の全額近くを担保として銀行を介して引き受けられています。

しかも、この国債総額が増加するばかりです。

今後、国民の生活が厳しくなると預貯金を取り崩しますから、国債の増額が困難になります。

その時は、緊縮財政となって不況とインフレによって、国民の財産が実質目減りすることになります。

国民としては、自分たちの国家ですから、預貯金を担保にされても致し方ありませんが、しっかり監視しないと自分たちの財産が半減してしまいます。

災害復旧、東京オリンピック、軍備増強などと財政負担の大きい懸案事項が続きます。

国の財政は税金で賄うことが大原則です。

従って、総収入は限られているので、何処かを削らなければ財政が成り立ちません。

そこで、削る対象とされるのがメンテナンス費用と社会福祉費用です。

経済の専門家による高度な論議は、私たち庶民には理解困難ですが、単純化して自分の家計に置き換えて類推すれば、理解できるでしょう。

世界経済は、各国の相互信頼で成り立ち、貿易で物資の交換をして、国民の生活が成り立っています。

もしも、我が国の信用力が低下すれば、為替レートが安くなり輸入品の価格が高くなるので、食糧やエネルギーの輸入率が高いために、生活必需品の高騰につながり、特にシニアへのしわ寄せが大きくなります。

6.国民所得の動向

太平洋戦争でどん底まで落ちぶれた日本が、予想外の復興を果たして、”Japan is No.1 ・・・”とおだてられた程に経済成長しました。

これには、労使が一丸となって会社を成長させた結果です。

当時は、私も労組の役員でしたが、企業内組合であっても、ストライキまでしてベースアップの闘争をしたものです。

その結果として、勤労者の実質賃金が上昇して生活水準が向上しました。

それに比べて、現在では、労組の力が弱くなり、企業は株主優先で、勤労者の実質賃金は低下するばかりです。

しかも、派遣社員が増加して労働者の身分格差を拡げて、社員の労働密度を高めるばかりです。

これだけIT化が進んでも、会社は人員を削減するから、過労死が問題になるほど働かされる結果になっています。

実力(成果)主義とは名ばかりで、評価方法が不明確の為に、実情は努力に見合う待遇ではないので、社員は失敗して降格されることを恐れて、保身を考えざるを得ないでしょう。

マニュアル重視で、消極的な安直人間が育つばかりです。

これでは、日本の賃金が中国と並ぶまでは、実質賃金が低下するでしょう。

派遣労働者が30%を超えて、ニート族と併せて年間所得が200万円以下の人が3割を超えている状況です。

この為、貯蓄額の乏しい若者が増加して、将来に希望が持てないと、詐欺犯罪や反社会的な組織に参加する若者が増加します。

我が国の95%が勤労者ですから、勤労者の実質賃金が上昇しない限り購買力が増加しません。

従って、安倍総理が日銀と組んで、2%の物価上昇を目指して「3本の矢」を放っても的には当たらないでしょう。

国民所得が停滞している限り、金利ゼロ政策が継続しますから、シニアの預金も金利がつきません。

子供たちの生活にも余裕がない状態となって、親の財産を当てにする状況になるかもしれません。

国民年金だけのシニアには、今後厳しい老後ですね。

7.シニアの生活支援制度の動向

50年前には、「揺り篭から墓場まで」の社会保障が理想とされて、イギリスとスエーデンが日本の目標と言われていました。

そのイギリスとスエーデンも、社会保障費の負担に耐え切れず、現在は理想通りではありませんね。

また、コンピュータ社会では、労働量の軽減により、ワークシェアリングが実施されて週休三日制になると予測されていました。

その余暇を楽しむ為に、厚生省の指導で全国に大型施設の休暇村が建設されました。

更には、観光施設の充実とか、図書館、美術館が整備されました。

団塊の世代は、この様な環境で育ち、大人になっては”金の卵”ともてはやされて就職したものでした。

さて、我が国のしにあに対する生活支援制度の動向はどうなるでしょうか。

以下は、私の個人的見解です。

7-1.年金制度

公務員の共済年金と一般の勤労者年金にはかなりの格差があります。

公務員は国民の公僕であり、国民の税金から給金が支払われており、格差があることに矛盾があります。

そこで、将来は統合されるでしょう。

国民年金は、国民全員に加入義務が課せられており、対象者は掛け金の支払義務があるのに、未納の人が40%近くに達していると言われています。

これでは、将来の年金制度が破たんするでしょう。

厳しく取り立てるか、延納制度を明確にして、原資の確保を図らなければなりません。

また、次世代に対する支払財源を確保する為に、明確な説明ができるように、年金制度体系の見直しが必要です。

税金から補填する余裕がない状態ですから、現行の支給額が更に削減される可能性もありそうです。

7-2.健康保険制度

国民皆保険制度ですが、年毎に支払額が増大するばかりで、破たん寸前にあります。

現在では、高齢者に高齢受給者証を発行して管理し易くしています。

そして、一部負担金割合に所得による格差を付けています。

今後は、高齢者の医療費削減に対するきめ細かい規定が追加されそうです。

更には、混合診療制度が導入されて、国民健保の適用診療が制限されるかもしれません。

7-3.介護保険制度

導入されてから十数年経過して、利用者の増大で、拠出金不足となり、掛金支払対象者の拡大が検討されています。

一方で、要支援認定の基準を強化して対象者の枠を狭めています。

今後は、介護費用支給額を削減するしか方法がないでしょう。

厚労省の考え方は、民間企業の活用と在宅介護の推進を図って、直接人件費削減を狙っていると思われます。

介護には、人件費が多くの割合を占めています。

そこで、今後はロボットの導入が進んで、遠隔監視システムが一般化するかもしれません。

今後は、老後の生活にも格差が拡大するでしょう。

8.おわりに

政治家は国民からの支持を受けるために、口当たりの良い発言を繰り返して来ました。

しかしながら、グローバル化した現在では、1国の努力だけでは実現困難な事案が増加しています。

多国籍企業の増加で税収額が低下したり、難民問題に協力支援金を出したり、紛争防止のために軍事費を増額したり、先進国の負担が増加傾向にあります。

従って、どこの国でも、国民へのサービスが低下することになって、政治体制も揺らいでいます。

覇権国も多極化する傾向にあります。

最終的には、資源の豊かな国が有利な立場に落ち着くでしょう。

日本の加工産業としての立国条件は過去のものになりました。

私たちシニアも現実を再認識して、「食い逃げ世代」と言われないように、次世代に資産を引き継がなければなりません。

原子力発電所は「負の資産」となってしまいました。

世界平和の実現を目指して、先進国は後進国の発展を許容しつつ、地球環境の破壊を防止するための方策を強化して、次世代にクリーンな地球環境を引き継がなければなりません。

局地的戦争で街を破壊して、復興支援で景気回復する・・・従来のパターンは許されません。

国のエゴ、個人のエゴを抑えて、人類全てに協調体制が求められています。